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【キャリアインタビュー】アスレティックトレーナー伊藤 雅浩氏(後編) 〜プロ野球やメジャーリーグでの活動から、日米スポーツ界の違いまで〜

[2021.03.16]

今回は伊藤 雅浩さんのインタビュー後半をお届けします。今回は前回のブログに引き続き、日米のプロ野球界でのご経験や、それぞれの国でのスポーツを取り巻く文化や現状の違いなどについてもお聞きしました。

>>インタビュー前編はこちらから

 

 

現地アメリカで大学を卒業された伊藤さんは、その後地元のクリニックでアスレティックトレーナーとして数年間活動をされていたそうです。様々な選手のリハビリテーションなどを始め、当時ゴルフの日米対抗戦への帯同で日本にいく機会があったり、様々なフィールドで活動をされていました。

 

 

阪神タイガースでのキャリアをスタート

アメリカで数年間活動されているところできっかけがあり、日本に帰国され阪神タイガースでアスレティックトレーナーとしてキャリアをスタートされた伊藤さん。伊藤さんがタイガースに在籍した期間(2004~2008年)を振り返るうえで、特に2005年のセ・リーグ優勝は多くの野球ファンの印象に残っているシーンでしょう。

 

基本的には先発ピッチャーを担当していましたと当時を語る伊藤さん。主にチームの1軍に帯同し、先発ピッチャー陣のトレーニングやケアなどを総合的に担当されていたそうです。

 

タイガース時代のスケジュール

 

プロ野球チームとしての一年は2月1日の春季キャンプから始まります。タイガースの場合は沖縄でキャンプを行っていたそうですが、トレーナー陣は1月中から選手のトレーニングに帯同していくそうです。3月になると甲子園に戻ってきて、オープン戦で調整しながらレギュラーシーズンの開幕に備えていきます。

 

ホームでナイターの時は11時ころ甲子園に集合をし、終わりが夜の11時くらいというスケジュールでした。と振り返る伊藤さん。試合前に選手それぞれにトレーニング指導をしたり、治療を担当するスタッフと連携をしながら選手のコンディションを整えていたそうです。

 

プロ野球のレギュラーシーズンは7月のオールスターブレークを挟んで10月中頃まで続いていき、11月の秋季キャンプをもって一度チームが解散する形になるのが一般的。オフシーズンは整形外科の先生や理学療法士と連携しながら選手のメディカルチェックやリハビリなどを行ったり、次なるシーズンに備えます。

 

セ・リーグを制した2005年

打つし守れるし、攻撃陣とピッチャー陣の歯車が間違いなく噛み合っていましたね。それも必然的なことだったと思います。やっぱり各々の準備がきっちりしていた結果だと思うんですよね

 

2005年、阪神タイガースはセ・リーグを制覇。打撃陣は今岡誠選手が147打点を記録し、4番として打線を引っ張った金本知憲選手はセ・リーグ MVPを獲得。さらに最多勝を勝ち取った下柳剛投手や井川慶投手ら先発ピッチャーの充実に加え、JFK(ジェフ・ウィリアムス投手 / 藤川球児投手 / 久保田智之投手)と呼ばれた盤石の中継ぎ投手陣の活躍も光りました。

 

 

みんなプロ集団だなと思いました。選手たちが本当に準備をきっちりした結果なんだろうなと思いましたし、その中でうまく監督コーチやスタッフ陣の各々のやることがうまく見えていて。結果としてケガがなかったのが一番でかいですよね。振り返ってみると各々の準備がきっちりしていたんだろうなと思いますね

 

 

メジャーリーグへ

伊藤さんはその後、井川慶投手のメジャー挑戦に帯同する形でアメリカ球界(メジャーリーグ)に活躍の場を移す形になりました。井川選手の移籍したニューヨーク・ヤンキースにて、トレーニングやケアなどを担当されていたそうです。

 

 

タイガースからは井川投手に続いて、2013年シーズンから藤川球児投手がMLBへ挑戦。伊藤さんは藤川投手の移籍のタイミングで、シカゴ・カブスに所属し活動されました。

 

 

 

マイナーからメジャーまで球団スタッフの一員として活動された伊藤さん。

 

いわゆるトッププレーヤーと関わる機会を与えてもらって、本当に感謝しかないですね。トップ選手のトレーニングやルーティンも見ることができましたし、大先輩のトレーナーに手法を見させてもらうこともありました。メジャーリーグではかけがえのない経験をさせてもらいましたね

 

日米のスポーツを取り巻く文化の違い

ご自身の学生時代に始まり様々なプロスポーツの現場など、幅広く日米のスポーツに携わってこられた伊藤さん。ご自身が活動されていく中で感じたスポーツを取り巻く文化の違いについても伺いました。

 

チームスタッフの仕事の違い

アメリカの方は兼任というのが少ないですね。アメリカの方がより分業が進んでいると思います」と語る伊藤さん。

 

アメリカのスポーツチームのスタッフでは、治療は治療の専門家、トレーニングはトレーニングの専門家というように、それぞれの職域が日本のスポーツ界に比べてより明確に分かれていることが多いようです。

 

育成年代のスポーツへの触れ方について

また、伊藤さんは日本に対するアメリカの育成年代のスポーツへの関わり方についても、興味深いお話をご紹介されていました。

 

日本の育成の仕方というと、育成年代では特定の一つのスポーツに特化して練習やトレーニングを積み上げ、経験や技術を磨いて選手としてのレベルを上げていくという考え方が一般的でしょう。しかし一方で、アメリカのメジャーリーグの選手の中には、例えば高校の頃に野球だけでなくアメフト部やバスケットボール部にも所属していたという選手も多くいるそうです。

 

運動能力が高い人たちばかりですが、その運動能力やしなやかさってどこで備わったかと考えると、そこも間違いなく否めないところだと思います

 

 

複数の運動部に所属する、というのはアメリカならではかもしれません。遊びでバスケをやってみると、当たり前にダンクを決めてしまうようなメジャーリーガーもいるというエピソードには驚きでした。

 

可能なのであれば、日本でも多種目を高校くらいまでやれるようになったとしたら面白いなと思いますね

 

 

伊藤さん、ありがとうございました!

インタビューはここまでです。ご自身の経験をはじめ、日米のスポーツ現場や文化の違いなど、大変興味深いお話をいただきました。ぜひ、インタビュー前半記事もご覧になってみてくださいね。

 

伊藤さん、ありがとうございました!

 


■伊藤 雅浩(いとう まさひろ)氏

岩手県盛岡市出身

BOC公認アスレティックトレーナー(ATC)

カリフォルニア州立大学フレズノ校 卒

NPB阪神タイガース、MLBニューヨークヤンキース、シカゴ・カブスなどでアスレティックトレーナーを歴任。現在は兵庫県を拠点に、様々な競技のアスリートのトレーニング・ケアなどのほか、一般の方のパーソナルトレーニングも担当。


 

 

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