【運動でコツコツ予防を!】高齢者に見られる「サルコペニア」ってなに?
人間の体は身体活動が不足したり、年齢を重ねていくにつれて様々な変化をもたらします。皆さんは「サルコペニア」という疾患をご存知でしょうか?
サルコペニアとは、「高齢期にみられる加齢による筋肉量の現象や、筋力または身体機能(歩行速度など)の低下のこと」を指します。
サルコペニアは気づかぬうちに進行し、徐々に活動レベルを低下させることに繋がり、しだいに日常生活に支障がでるような重大な機能低下が出てくることも考えられます。中程度のサルコペニアでは前かがみ・うずくまる・ひざまずくといった動作が困難になるとされ、重篤な程度では椅子から立ち上がることが難しくなるとされています。
また、サルコペニアの発症や進行は「骨粗しょう症」「関節炎」「心臓血管疾患」「肥満」「インスリン抵抗性」などと関連性が高いとされています。年齢を重ねるごとに日頃の活動量が減ってきたり、ご病気などでなかなか動くことが減ってしまっている方は注意が必要かもしれません。
加齢や運動不足からくる筋力や筋肉量の低下といっても、ご自身の筋力というのはなかなか自覚することがなかったりしますよね。それでも筋力低下は長い時間をかけて日常生活に少しずつ、着実に影響を及ぼすようになっていきます。
また、筋力低下の中でも特に「下半身」の筋の弱化は、転倒や歩行速度の低下などにつながることが分かっています。滑って転ぶ事故の負傷者は、転倒経験のない人に比べて大腿四頭筋(太もも前の筋肉)などの筋力が著しく低下しているとする報告もあります(Lord SR et al., 1994)。
サルコペニアを予防するには?
サルコペニアを未然に防ぐために重要な要素の一つとなるのがやはり「運動」。なかでも、レジスタンストレーニング(=筋トレ)は非常に重要な要素の一つです。
レジスタンストレーニングは、高齢の方にとっても安全であるうえ、筋力や筋肉量を向上させたり、キープしたりするために効果的な手段です。先に挙げたように、高齢者の方に多い「転倒事故」の予防はもちろん、また骨密度を保つうえでも、レジスタンストレーニングはとても重要になってきます。骨密度との関係は、また記事にしますね!
BLUE8では、60代後半から70代の方もトレーニングにいらっしゃっています。目的は皆さん様々ですが、ご自身の健康のため、またご自身のライフワークを満喫するためにも、資本となる身体をお手入れされています。前向きに運動に投資される姿に、私たちも身が引きしまります!
もちろん、運動はジムでしか行えないことではありません。まずはご自身の慣れているスポーツやアクティビティに参加してみたり、負荷の軽いウォーキングなどにチャレンジしてみるのもいいでしょう。
また、お家用のトレーニングとして、上に挙げたようなお家で取り組めるような自体重のエクササイズもオススメすることが多いです。活動量をできるだけキープしながら、できることから運動を始めていけるといいですね!
参考文献
サルコペニア診療ガイドライン作成委員会会編. サルコペニア診療ガイドライン2017年版. ライフサイエンス出版. 2017
Mark D. Peterson. Resistance Exercise for Sarcopenic Outcomes and Muscular Fitness in Aging Adults. NSCA JAPAN, Vol 17, No 10(20-30). 2010